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8 五十八士も例外ではかった。彼は常に「これは売れる、儲かる」と思われる商 材を探していた。そして「これだ!」という商材に出会うとそれを熱心に研究し、 職人を集めてそっくり同じように製造しては売り出していた。 特に戦後復員して社名を「株式会社谷田製作所」と改名してからは、時計の部 品、懐中電灯や自動車用ブザーなど様々な商品を製造、大手メーカー(シチズン、 東芝など)に納入するようになっていった。 五十八士は時代のニーズを先読みする力に長けていた。例えば日本人の食生活 の変化をいち早く見抜き「これからはパン食が増える」と予見し、1 952年 にいち早くトースターの製造を開始。その後は日本初のオーブントースターの 開発・製造に成功、いずれも OEM生産で東芝に納入するようになった。なお、 この時期、五十八士はストーブや小型モーターの製造も行っている。 しかしその多くが OEM生産であり、最初は大いに売れるのだが、競合が出て くると下火になる。ある商品が売れなくなり生産を取りやめざるをえなくなる と、五十八士はまた新しい商材を探してきて、その製法を研究、職人を探して きては一から製造体制を整え発売する、という流れを繰り返していた。 当時の父・五十八士の様子をみていた大輔は、子ども心に「いちいち最初から