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成都市街の北西60qに紀元前256年から現代に至る今までずっと使われている世界最古の水利施設がある。岷江本流からの取水施設である都江堰だ。2000年に青城山と共に世界文化遺産に登録されたのだが、一見するとどこが世界遺産になるほど素晴らしいのかわからない。しかし、実はそこに都江堰が世界遺産たる価値が隠れているのだ。 都江堰は紀元前256年、秦国の李氷という人物が作った水利施設である。ダムや堤防を作る技術のないこの古代、都江堰の仕組みは驚くほど科学的で自然の理にかなっている。東京ドーム約18万7199個分の広さがある成都平野を巨大な扇状地を形成しながら岷江は流れており、その中心に都江堰は位置してある。都江堰から取水された豊富な水は扇状地のごくゆるい傾斜に沿って扇の骨のように広がる用水路を流れ、成都平野全体を潤している。都江堰が建設される前の成都平野は水害と干害に悩まされていたが、都江堰ができたおかげで成都平野は天災のない豊かな農業地帯となったのである。洪水の防止、灌漑など、水利施設が必要とする重要な機能をすべて備えている都江堰は、成都平野をして「天府の国」と呼ばしむ豊かな土地に変えたのだ。 36 China Life 成都