【DO!BOOK・ページリンク】
0000237001   13 / 85

BOOKをみる

10秒後にBOOKのページに移動します


- 11 - 市吹と私 -創団40 周年に寄せて- 浜松市民吹奏楽団 音楽監督 指揮者 シエナ・ウインド・オーケストラ トロンボーン奏者 アカデミック・ウィンド・オーケストラ浜松 代表 浜松トロンボーン協会 会長 塚本 修也 40 歳、人間でいえば脂ののりはじめる世代ですね。浜松市民吹奏楽団(以降、市吹)が誕生した 頃は、私は6 才でした。当時からの指揮者は父だったため、物心がついた時から市吹は常に身近な 存在だったような気がします。生演奏が間近で感じられる年1 回の定期演奏会が本当に楽しみで、 そこでたくさんの名曲に出会い、コンサートの作り方や楽しみ方を知っていき、さらに私が演奏家 を目指すきっかけのひとつとなりました。 高校生の頃は、管楽器専攻生が少ない音楽高校で合奏する機会がほとんどなかったため、市吹の 練習に足繁く参加させて頂き、合奏の中での吹き方を自然に学び、今のオーケストラプレーヤーと しての礎となりました。大学に入ってからその後約25 年間は市吹との関わりが遠退きましたが、 その間に私の演奏家生活がスタートして様々な経験を積んでいる間も、市吹はレパートリーの拡大、 団員の増加、そして何よりも海外との交流などの意欲的な活動で、増々市民に愛される団体へと、 目まぐるしい成長をしてきました。地元浜松で私に出来る事は何かと考え始め、徐々に浜松での演 奏活動を広げていった矢先に、嬉しい事に市吹から指揮者としてのお話を頂きました。これまでの 伝統ある大所帯のバンドを指揮者として本当に任務が果たせられるのか、大きな不安はありました が、20 年以上前からのおなじみの顔ぶれや市吹サウンドが健在なのが懐かしく、皆さんから私を 暖かく迎えて頂き、嬉しく指揮棒を振り始めました。 今は試行錯誤をしながら団員の皆さんと一緒に音楽を作っていくという楽しみがあり、演奏仲間 として一緒にいられる幸せを感じています。 指揮者としてまだ2 年しか経っていませんが、これは市吹の歴史のたった1/20 でしかありませ ん。市吹と私で何が出来るのか?市吹のまだまだ隠れた魅力が引き出されていく期待と同時に、毎 回のコンサートにお越し頂くお客様から笑顔で「よかったよ!」と、たくさんの拍手を頂き、体温 が1 度でもポッと上がるような、そんなコンサートを真撃に丁寧に心を込めて、作っていきたいと 思います。続けるという事は勇気と根気が必要です。でもそれは掛け替えのない素晴らしい事です。 私もトロンボーンを吹く事だけは辞めなかったので、今こうして皆さんと出会い一緒に音楽をして いられます。世界一流の演奏家や指揮者から受けた音楽感を、私を育てた地元浜松や市吹に恩返し として伝えていくのが私の使命だと思い、これからも素敵な音楽との出会いのお手伝いをしていき ます。 さて、市吹の10 年後、20 年後、さらに40 年後はどうなっているのでしょう?それは、誰にも わかりませんが、作っていくのは皆さんです。そしてそれを育てていって下さるのは、市民のお客 様です。音楽は本当にステキですね。 あらためて、市吹40 歳、おめでとうございます。