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- 56 - とは一線を引く存在を目指していました。選曲も当時珍しいものや、マーチを多く取り入 れたりしていました。全日本吹奏楽コンクールにも懐疑的で、現在まで参加していません。 家庭的雰囲気が強く、「将来、親子で演奏できるといいね」と夢のように言っていたことが 実現しています。演奏会の選曲では、お客さんを第一に考え、「楽しい、感動、面白い」を 念頭に、お客さんの知らない曲でも、よかったと言ってもらえるような構成を心がけてき ました。既存の曲にナレーションを入れて演奏する「お話シリーズ」も市吹の特徴的な企 画で、初代ディズニーメドレーや、「だいだらぼっち」、「音楽はじめて物語」など数々の演 奏が記憶によみがえってきます。また大道具、小道具も手近な品を利用して、皆で夜遅く まで製作したものです。「1812 年」の大砲や、天岩戸の見上げるような「岩壁」、本物に見 える「蓄音機」などが特に印象的です。マーチが得意で、おそらく日本一マーチを多く演奏 している団体かもしれません。最近では「マーチでギネスに挑戦」が印象的でした。500 曲 あまりの楽譜を用意して曲順をそろえ、ガーデンパーク「水辺の劇場」で、24 時間ノンス トップ(曲間はドラムマーチつないでいく)でマーチを演奏し続けるもので、なんとやり遂 げました。日本中探してもこんなバンドは市吹だけでしょう。 最近の市吹の方向がなんとなく当初からのものと違ってきているのが個人的には寂しい 気がします。若い方で昔の市吹に興味のある方、ぜひ昔の音源や映像を視聴してもらいた いです。昔のものはビデオテープやカセットテープ、レコードなどのメディアしか残って いないので、この創団40 年を機会に、昔からの団員の方で資料を持ち寄って、CD、DVD に 残しておきたいものです。 そして、どこかで「団員のための懐かしの市吹CD コンサート」なんてお酒を飲みながら やってみたいですね。創団40 年 おめでとうございます。 市民吹奏楽団誕生の頃 パーカッション 内山 増栄 誘ってくれる人がいて創立2 年目の市吹に入団したのは昭和51 年のことだった。どんな 年だったかというと、ロッキード汚職で総理大臣が逮捕されたり台風で長良川が決壊した りの大事件はあったものの、数年前の石油ショックから立ち直って再び好景気に向かって いたのだと記憶している。テレビゲームがこの頃誕生したし、確かコンビニも本格的にで き始めていた。ドリフターズや萩本欽一のバラエティ番組が全盛で騒がしくお気楽なムー ドが漂っていたように思う。しかし実はそれらに何となく「違うんじゃないの」という自 分もいて、銀行員掛け持ちの小椋佳のただ甘くせつないだけではなくて実は大変真面目な 歌詞にうなずいたり、一見不良っぽさだけが目にとまる村上龍の芥川賞受賞作を心の奥底 で共感して読んだりもしていた。社会人成り立ての、いやとてもまだまともな社会人とは