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売り上げの 95 %以上を 18 リットル製缶メーカーに依存していたわが社の経営状況 も、次第に悪化していったのです。  その頃の私は大学の経済学部を卒業し、東京にある商社で、食品原料を輸入し て食品メーカーに卸す営業マンとして働いていました。働き始めて4年目に、父 から「スズキ機工に来てほしい」と打ち明けられたのです。父は事業環境が厳し さを増す中、さらに厳しい未来が待っていることは認識していたと思います。し かし、当時の社員やその家族のことを思えば、会社を盛り返さなければなりませ ん。そして、自分が創業し育ててきた、スズキ機工の全てを託せる後継者を育成 できるギリギリのタイミングだと判断したのでしょう。息子の私を召喚する決断 をしたのです。  一方の母は「絶対に来ちゃいけない!」と猛反対しました。この頃の母は会社 の帳簿を預かり、資金繰りに苦労しながら会社の財務を切り盛りしていたので、 父よりも事業内容や将来の展望を数字で把握できていたと思います。それなりの 規模の会社で、安定したサラリーマン生活を送っていた息子まで巻き込みたくな 15 第1章黎明期