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した。けれども素人の私が突然、会社の柱となる新規事業を起こせるわけもあり ません。漠然とした不安を抱えながら工場内を片付けることしかできなかったの です。  そんな折、転機が訪れました。前職の商社で担当していた食品原料の製造会社 の社長が、退職した私を案じて食品製造装置関係の仕事を紹介してくださったの です。工場を訪ねてみると、社長から指示されていたのでしょう、工場の担当者 が私にいろいろと宿題を与えてくれました。  駆け出しの私に、お金を払って仕事を出してくれたのです。知識や経験は浅か ったですが、「これは自分がいただいた自分の仕事だ!」という自覚を持って、 粘り強く一生懸命に取り組みました。当然、失敗も多く「スズキ機工は1回頼む と3回も通ってくれるいい会社だ(笑)」と、笑えない冗談を言われながらも貴 重な経験を積むことができました。この時に得た技術と経験が、後に直面するさ まざまな危機を乗り越えるための基礎になっています。  そんな矢先に、その社長が突然病に倒れ、お亡くなりになりました。日頃から 23 第2章混迷期