多忙を極めていたある日、会社に戻ると経理の女性スタッフがこう言いました。「社 長が外出すると皆、会社の前でずっと休憩していますよ」。想定外のことを告げ られ驚きましたが、まずは彼らに理由を聞かなければなりません。その中心とな っていた数名のスタッフたちと話し合おうと思っていた矢先に、彼らから会長に 直訴してきたのです。 　彼らの言い分は「自分たちが段取りを整えて仕事を進めているのに社長が突然、 急ぎの仕事をどんどん入れて混乱している」と、概ねそんな内容だったようです。 それを聞いた父は「お前たちがサボっている間、社長は得意先に頭を下げて仕事 を取ってきているんだぞ、やることをやってからモノを言え！」と一喝したそう です。そうなってしまったら、スタッフも辞表を出さざるを得ません。父は私の いないところで一刀両断してしまったので申し訳なさそうにしていましたが、私 は気にしなくていいと答えました。これまでの私が、スタッフとの付き合い方を 間違えていたのが原因ではないかと疑念が芽生えたからです。それを確信に変え たのが、１冊の本でした。 30