製作依頼がありました。当初は「確実に注文するので、とにかく早く取り掛かっ てほしい」と言われ、要望通りに見積書と図面を提出しました。しかし、急に方 針が変わったと告げられ、その案件は流れてしまいました。自動機械事業ではよ くあることだから、仕方がありません。 　ところが、その数カ月後に別件で呼ばれ工場に入ると、私が提出した図面通り の装置が設置されているのです。私の図面を利用して他の業者に創らせたのでし た。こんな対応をされて黙っているほど私は温厚ではありません。その場で今後 の全ての取引を停止させてもらうと告げ、その時に受注していた案件も全て破棄 し、二度と連絡してこないようにと告げて帰ってきました。相手は誰でも知って いる大企業ですが、ばからしくてやっていられなくなったのです。 　帰りの道中、次第に冷静になって、どうしてあの会社はスズキ機工を出し抜い たのか考えるようになりました。これまで、その取引先へは月に１回くらい訪問 していました。先方にしてみれば、やはり頻繁に御用聞きに来る業者に頼みたく なるのは当然でしょう。では今後、スズキ機工がその会社に頻繁に営業できるの 38