【DO!BOOK・ページリンク】
0000266001   39 / 64

BOOKをみる

10秒後にBOOKのページに移動します


か?それは無理です。なぜなら片道2時間半もかかるため、打ち合わせしてくる だけで1日が終わってしまうからです。ちょっとした案件でも1日分の人件費を 組み込んで請求しなければ赤字ですし、先方もそんな費用は支払えないでしょう。 さらに納品後に不備が発生し、解決するまで何度も通っていたら、到底利益なん て出るわけがありません。しかし、それが今まで私がやってきたことでした。そ んな働き方をしていたのだから、業績が振るわないのは当然です。ばかみたいな 話ですが、当時の私にとっては目からうろこが落ちるほどの大発見でした。  そして、後に完成する経営計画書の中で、一点ものの装置を創る産業用自動機 械事業については、「クルマで1時間以内の顧客との取引に特化する」という、 顧客の規模や業種よりも移動時間を最優先した基本方針を盛り込みました。基幹 事業において自ら顧客を減らすことはとても勇気のいる決断でしたが、狭いエリ アに経営資源を集中したことで、売上・利益ともに伸び、その後のスズキ機工の 躍進にも大きく寄与していったのです。 39 第3章改革期