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10 生物の成績が良かったことと、手先が器用なことかもしれない。絵 画や造形、彫刻では賞に選ばれることもあったが、美術家になれる レベルではない。「自分って何だろう」、モヤモヤとした高校時代を 過ごしていたような気がする。 高校三年生になり、進路を決めるときは大いに迷ったという。こ の道に進みたいという明確な目標がなかったからだ。一つだけわ かっていたことは、広く浅く何かを行うよりは、一つのことを極め ていく、つまり専門性の高い仕事の方が性格に合っていることだ。 そして選んだのが調理師。食べることが好きだったし、料理する |