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27 新見 目指していた道が閉ざされたときに、改めて、なぜ、自分はがんを 専門にしようと思ったのかと考えた。 治療を行うなかで、がんが発見されたときは手遅れで残りの人生を失望の なかで生きている人、若くてまだやりたいことがたくさんあるのに末期のが んを告げられた人、そんな辛い患者をたくさん見てきた。彼らにはなんと言 葉を掛けていいのかわからなかった。また、患者の治療に全力投球すればす るほど、亡くなったときの衝撃は大きく、それを受け止めきれない自分がい たことも事実だ。 そんなことを考えているうちに、「医療はギリギリのところでやってもダ メなのだ」という、極めて当たり前だが、極めて大切なことに気がついた。