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走り去り、何時間も戻ってこないことが幾度もありました。 「なんて私は不幸な子だろう」 いつもそう思っていました。やがて私は、 「周囲にいるようなあんな大人になりたくない」 「私の世界はあなたたちに邪魔させない」 と、人間関係に無関心を決め込み、自己防衛のための自我を育て始めました。  その当時のテレビや映画に出てくるヒーロー、ヒロインは孤高の人でした。強風にさらされ ながら崖っぷちに佇み、一歩踏み外すと死に至る。そんな生き方が素敵だと思い込んでいま した。しかし、心はずっと孤独でした。 こうして育て続けた自我で、原田は内なる世界を守り、人生の邪魔になるものを振り 切って生きてきた。 やがてその自我は人を裁き、同時に自身をも裁き、傷つけてきたことに気がついた。