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学音楽学部でクラリネット講師として教壇にも立ちましたが、 どうして日本人にはとびぬけた才能を持つ人がいないのかとい う理由が、長年の研究によって徐々にわかってきました。  自分が勉強してきた方法が、明らかに間違いだったからです。 間違った教え方で生徒に強要するから、生徒はうまくならない し伸びが止まってしまう。その現象がわかるにしたがって、 私はダメな教え方を絶対にしないように心がけるようになりま した。まずは口で説明できない抽象的な言葉で指導するのをやめました。よく「音楽的」だとか「芸術的」だ とかいう言葉を使って教えている人がいますが、具体的になにが音楽的なのかなんてわかる人はいないで しょう。  抽象的な言葉にはまると、そこから引き上げるのはとても大変です。どうすればいいかわからないから、 みんなごまかすのです。評価する方も然りで、ときには感性で人を評価したり、あるときには枠にはめて いく評価をしたり。その枠にはまらないと、おまえたちはダメだとレッテルを貼ります。日本の音楽教育 に携わる人は、独創性を一切認めません。自分の型にはめようとします。まあ、音楽に限らずどこの世界 も一緒かもしれませんが…。とにかく、担当の先生のお家制度になっていることが多い。それで先生から 教わったことを、自分の生徒にもそのまま同じように教えるから、日本人の音楽は同じ型の繰り返しになっ てしまうのです。 30