【DO!BOOK・ページリンク】
0000275001   33 / 56

BOOKをみる

10秒後にBOOKのページに移動します


 私が実践したもうひとつの指導法は「汚い音を出せ」ということです。私の生徒に教えるときも、また各 地の吹奏楽の指導などにあたったときもそうでしたが、誰かの陰に隠れてこじんまり演奏するのではなく、 もっと音を出せ、汚い音を出せ、とにかくでかい音を出せとたきつけました。表に出てくる奏者は、誰も がわかります。だから指揮者は、表に出ている人を攻撃したくなります。しかし私は、裏に隠れている、 消極的な奏者を見つけ出すのです。隠れている人間をガンガン引き上げていくと、表に出ている奏者と同 じレベルになって、音が出るようになり音程もリズムも合ってきます。こうした指導を続けると、演奏の レベルが格段にあがります。生徒もグングン成長します。殆どの生徒は私が三年かかって習得したことを、 一年くらいでできるようになります。  私が大学の講師を長年していたのは、日本人と西洋音楽の間にあるギャップについて解明したいという ことと、日本の音楽教育に携わる教師陣の化けの皮をはがし、負の連鎖を断ち切りたいというモチベーショ ンがあったからです。日本人と西洋音楽の間にあるギャップ、負の連鎖を断ち切る方法、 25 年かけて研究 したこの二つの研究成果は拙著『音楽は何語? 日本人はクラシック音楽をどう把握するか』にまとめてあ ります。 ! 負の連鎖は汚い音でぶち壊す 31