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整をふくめ、すべて私が責任をもって開発しています。脳が働くようになるには、音質がとても重要だか らです。私が狙った音質ぴったりでないと、意味がないのです。機械では測定できないため、私の耳が判 断して製作しています。音源によって方法は変えていますが、細かいところは企業秘密です。  私の母は女子師範学校を卒業し、小学校の教師をしていました。私が幼い頃は、母が教える教室の外に 行って、窓の下に座りながら母がピアノで伴奏している曲を覚え、家に帰ってハーモニカを吹いて過ごし ていました。音符で習うのではなくて耳で覚え、ハーモニカで表現していたのです。本当はピアノを習い たくて母に泣いて頼んだのですが、「貧乏だからそんなお金はない、中学生になったらブラスバンドがある からそれまで待ちなさい」と。それで中学校に入学して、ブラスバンドを覗きにいきました。試しにトロ ンボーンを吹いたところ難なく音が出ました。「なんだ、つまらない」と柔道部に入り、二年生になってす ぐに県の大会で優勝したのです。そうしたら今度はブラスバンドに入っている友達から「ブラバンがつぶ れそうだ」と耳にし、ようやくブラスバンドに入ったのです。  ブラスバンドに入り、音を出すのが難しそうな楽器を選びました。クラリネットです。試してみたら、 案の定、音が出ません。それが逆に面白くて、クラリネットを始めました。音楽との付き合いがこんなは じまりだからか、私には音楽に対する先入観や固定観念みたいなものがまったくありません。長年演奏法 の研究をしてきたせいかもしれませんが、いい音はいい、悪い音は悪いと偏見なく見極めることができる ようになったのでしょう。 42