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思い出し、再提出しました。それから2、3ヵ月後に富士銀行の担当者から電話があって、開発途中の聴 覚システムを調べにきたいということでした。その数日後、若い行員がお出でになり、行員は効果に驚い て帰っていきました。その後、その事もすっかり忘れていた頃、再び電話がかかってきて今度は「面接に お出で下さい」と…。もしかすると、という気持ちで富士銀行の本店に行ってみたら、頭取だの年配のお 偉いさんが7.8人ほど並んでいたのです。特に審査員長が強面で。事業の説明をしていると「途中でも う結構です、ご苦労様でした」と打ち切られてしまいました。「参ったこれは落ちた」と思いました。交通費 の7,000円を受け取り、切ない思いで帰りました。その二ヵ月後にまた電話があり「おめでとうござ います。助成事業に合格いたしました。つきましては芙蓉会館で表彰式があ りますのでおいでくださいますか」と…。驚きました。  表彰式に臨んだ後には、盛大なパーティが開かれました。私は心もとない 気分で、会場の隅で佇んでいました。そこへ、審査委員長がいらしたのです。 「いやあ、あなたの案件は面白かったねえ」と、怖い顔をニヤリ。審査委員を 務めた方から次々と「あなたの案件は面白かった」とお褒めの言葉をいただき ました。「そうなのか、それなら中央へ」と出て行ったとたん「それでは祝賀会 を終わります」と…。空きっ腹を抱えて帰路に着きました。パーティ終了後、 口座に300万円が振り込まれていました。この助成金には報告の義務もまっ たくありませんでした。どう使おうと自由だったのです。 44