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4 父の戦死、母の事業失敗 気づけばあっという間の人生。幼い頃、我が家の一家心中 を救ってくださったのは玄関に挟んで立ち去った方の一枚の紙 切れでした。20代の母に、三人の娘たち。四人の母子家庭 でした。父は戦死して母が事業に失敗、途方に暮れていた時 です。その紙切れにはこのように書かれていました。 「久子さん、あなたには3つの太陽があるじゃありません か。今は雲の中に隠れていても必ず光り輝く時が来るでしょ う。どうかそれまで死なないでください。生きてください」 この紙切れで私はのちに光り輝く太陽になって生きること を誓ったのでした。常にその助けられた尊い命のことを思え ば、耐える事はどんなことでもできました。 しかし、今日食べるものもない我が家に三人の子供が毎日 生きていくことは、もう不可能でした。数日後、母の姉が来 て襖の向こうで話し合っている声が聞こえました。明日妹を 引き取って連れていく話に、私は言葉で反対はできなかった のです。寝姿の妹の手を私の手とハチマキで結んで寝ました。 12