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そして私は、学校に行かせてくれるということで、他人の 家に行かされることになったのです。私は明治生まれの厳し いおばあさんの家で色々辛い目に遭いました。離された妹を 思い、きっといつか良いことがあると信じて、努めて明るく 振舞っていたのですが、今では考えられない虐待と思われる 行為も母の言葉で、救われて来ました。 「天知る、地知る、我知る。どんなに貧乏になっても心ま で貧乏に染まってはいけません。」 それは母がいつも言っていた教えです。これはもともと中 国の故事で、後漢の時代、楊震という学者が役人から賄賂を 渡されるのですが、役人が「誰も見ていないからいいでしょ う」と言ったのを、楊震が「そんなことはない。天知る、地 知る、子知る。悪事は必ず誰かが見ているものだ」と答えた、 というお話から由来しています。ことあるごとに、母はこの「天 知る、地知る、我知る」という言葉を出し、私たちを律して いました。素晴らしい言葉を残してくれた中国の皆さんに感 謝しています。 もう一つ、思い出すのは、他人の家で暮らすことがいかに 悲しかったか、辛かったかです。それは私の生きる上で貴重な 経験でもありました。 ある日、叱られ、トイレでむせび泣いていた時、小窓から 大空に飛ぶ鳥の群れを見て、気付かされたこと。 「大空を飛ぶ鳥になりたい!!」 垣根もない大空で自由に羽ばたけたら、どんなに辛いこと でもできる!!やれる!!これが14歳のときに気づいた原 点です。だからあなたも、もし辛い状況があったら、将来飛 び立つための準備なんだと思ってください。 13