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実は私は、「これからのPRという仕事は、私なんかよりも、 もっと若い人たちがやった方がいい」と思っていました。 ですから娘に事業 継承するつもりで、 早くから現場を任 せていました。私 がいつまでもいる と子どもも成長し ませんし、それに 親子のケンカは遠 慮がないですから ね(笑)。 それからしばらく、夫は日本でいくつかの会社の顧問をし ていました。ご存知のように、私はおせっかいの活動家で、 じっとしていられないタイプ。夫はどちらかと言うと、家での んびりと映画やテレビを観たり、気の合う友人と宴会を楽し むタイプでした。 老後のことで、一つだけ後悔していることがあります。そ れは、夫の体調の変化に気付かず、社会貢献に燃えていたこと。 夫の身体がこんなにひどくなっていると思わなかったのです。 咳がひどくこじらせたから、二週間ぐらいでの退院を信じて いたのです。早く治ることのみ信じていました。まさか命が なくなるなんて……。人は必ず通る道。いつか通る道。その 寿命がわかっていたのなら、もっと優しい言葉をかけてあげ たかったと、後悔ばかり。泣いても泣いても今更命は帰って こない現実。周りが見えない自分だったことが、悔しいし、 切なくて、悲しくて…。 25