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71 無関係でいることはできなかった。サングラスをカバンか ら取り出しながらドアに向かい、誰にも気づかれませんよ うにと祈った。 「いらっしゃいませ!」父は言った。 「店の中見せたるわ。」父がドアを開け弁当を受け取る 時、ぼくの視界にはお洒落な店の内装が飛び込んできた。 ぼくはサングラスを外した。「これが何トンも肉を保存で きる新しい冷蔵庫や。新しくてオーダーメイドで、前のよ りはるかにええねん。」父は笑ってこう言った。 父が誇らしげに新しい設備を紹介する中、ぼくはテーブル の上のエプロンを見つけた。それはまさにスターバックス のエプロンのような洒落たものだった。そして父が新しい 包丁で肉の塊を切り始めた。それを見つめながら、ぼくは 父の半生を思い出していた。 父は大学に行ったことがない。高校を卒業すると、父は すぐに祖父の肉屋で働き始めた。結果として、父は全半生